2025年、金価格が1トロイオンス3,000ドルを突破した。「安全資産への逃避」という教科書的な説明では、この異常な上昇を説明できない。
中央銀行の「ドル離れ」
2022年以降、世界の中央銀行は記録的なペースで金を購入している。年間1,000トン超の純購入は過去50年で例がない。特に中国人民銀行は公式発表だけで300トン以上を買い増し、実際の購入量はその2〜3倍と推定される。なぜか?ドル資産(米国債)を持つリスクが、地政学的に許容できないレベルに達したからだ。
ロシアの前例が変えたルール
2022年、西側諸国はロシアの外貨準備約3,000億ドルを凍結した。この「前例」は、世界中の中央銀行に衝撃を与えた。「ドル建て資産は、政治的な理由で凍結されうる」。この認識が、ドルから金へのシフトを加速させている。金は、誰にも凍結されない。
米国の財政赤字という時限爆弾
米国の連邦債務は36兆ドルを超え、利払い費だけで年間1兆ドル以上。財政赤字はGDP比6%超。歴史的に、この水準の財政赤字は通貨の信認低下と金価格の上昇を伴う。金市場は、ドルの長期的な減価を織り込み始めている。
個人投資家はどうすべきか
金はインカムを生まない「死んだ資産」だと長く言われてきた。しかし、中央銀行が債務を膨らませ、通貨の価値が希薄化する時代には、「価値を保存する」だけで十分な機能を果たす。ポートフォリオの5〜15%を金に配分することは、もはや保守的な選択ではなく、合理的なリスク管理だ。






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